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Lyrical Magical Stylish Mission 13 Arc Enemy 「―――これだから人間はやめられない、そうだろう?」 残す敵は後一体、次が最後の闘いになる。ダンテは弾倉を交換し、剣に付いた血糊を拭きながら隣で昏々と眠り続けるなのはを見て、軽く吹き出した。 「ったく、大したモンだよ。イヤマジで」 眠るなのはの頭を軽く撫でる。 「……でも、サンキューな。助かったぜ」 何か、静かになった。 そして、ひんやりと感じる下となぜか暖かい上。そういえば何故自分が寝ているのかも思い出せず――― 「!!」 「お早う、寝ぼすけ」 なのはが突然ガバッと跳ね起き、焦点の定まっていない目でダンテを見て、頭をブンブンと振って眠気をすっ飛ばした後、もう一度ダンテを見る。それがバージルでないことに安堵の溜息一つ。 「…………」 「何だよ、惚れたか?」 「……まさか」 銃をクルクルと玩んでいるダンテの冗談は、なのはにとって思考がはっきりとしない寝起きにはキツかった。 「……どのぐらい寝てました?」 「んー……二時間ぐらいか?」 「Exactly, one hour, fourty-five minutes, twenty-eight seconds.(正確には、1時間45分28秒です)」 「……そんな寝てたんだ」 そのおかげか、驚くほど体が軽くなっていた。周囲に満ちる濃密な魔力が回復を促進したのか、家で二時間寝たときより遥かに回復している。 「ところで、バージルさんは?」 「消えたけど、何でだ?」 「普通こういう場合って、改心して手伝ってくれるじゃないですか」 「……漫画の読みすぎだな」 「ダンテさんに言われた……」 たった数日滞在しただけで高町家の漫画を全部読破したダンテに言われるのは、なのはにとって甚だ心外だったようだ。相手にするのを諦め、なのははダンテにつられて上を見上げる。 「……行きましょうか」 「だな」 二人が睨むのは天に開いた穴。バージルが言うには、そこが今回の終着点だ。なのははフィンを駆り、ダンテは周囲に浮かぶ彫像を蹴って上に飛ぶ。 穴から感じるのは、今まで周囲にあったものとは比べられないほどの圧力と瘴気。 ファントムとグリフォンを退けた後に僅かだが邂逅した魔帝のもので間違いないだろう。 「「Let s get crazy yeah!!」」 凄まじい魔力と重圧にも全く恐れを見せず、二人は獰猛な笑顔を見せてそこに飛び込んだ。 「来たか……ここで積年の因縁、断ち切ってくれる!」 「ああ、そーだな。いい加減テメーの顔も見飽きたぜ!」 空間に開いた穴を突き抜けて、二人がたどり着いたのは一瞬宇宙と錯覚するほどの深い闇に覆われた深淵の世界。魔帝ムンドゥスが生み出した戦闘空間である。 「さあ行くぜ? Are you ready!?」 そして、爆音と共にダンテの姿が変化する。闇の波動を纏ったその姿は悪魔そのもの、思わず隣にいたなのはがビビッてしまうのも無理はないだろう。 「……ダンテさん?」 「It s Alright.(問題ない)俺は俺だ、信じろ」 人間の姿をしていた頃に比べ、彼の念話同様酷くノイズ掛かって聞き取りにくくなったダンテの声。それでも、そこに秘められたダンテらしさだけは全く失われておらずに。 「ちょっと驚いただけですよ、そんな大げさな」 なのははすぐさま頭を切り替え、最終決戦を前に失態だったと少しだけ悔いる。それでも、次の瞬間そんなものをダンテと共に笑い飛ばすことは忘れない。 短い時間の中で築いてきた二人の絆は今さらどんな理由があったところで崩れるものではなかった。 「ならいい。派手にぶちかまそうぜ!」 「Yeaaaaaaaaaaaaaah!!」 上下左右の感覚がどうなっているかすら定かではない空間に何の恐れも見せずに舞い上がる。闇の中において輝く白と、闇の中においてその闇より更に深い黒は、大きさこそ魔帝の足元にも及ばない。 それでも、両者から発する絡み合った力の波動は魔帝に十分匹敵するレベルで周囲に吹き荒れていた。 「俺様からのプレゼントだ。遠慮しないで受け取りな!!」 「GYAAAAAAAAAAAAAA!!」 開幕の合図はダンテが呼び出した火龍。空間を揺るがすほどの咆哮を上げながら遥か彼方に見えるムンドゥス目掛けて突き進んでいく。 「ディバインバスター・ダブル!!」 その火龍に沿うように目を焼く二重の白光が螺旋を描いて唸りを上げる。ドッペルゲンガーとの同時行使によって全く同時に放たれた二筋の閃光がムンドゥスを護るように展開される岩石や魔力弾を容赦なく塵に変えていく。 「グオオオオオオオッ!!」 姿は随分遠いのに、その絶叫ははっきりと聞こえてくる。二乗のディバインバスターによって守りを無力化され、そこに直撃した膨大な魔力によって生み出された火龍。 いくら魔を統べるものといったところで、あの直撃を受けてダメージがないわけない。 「シャアアアッ!!」 ド派手な開幕の合図、その結果を見届ける前にダンテは両の手から火炎弾を滅茶苦茶に飛ばしながら、ムンドゥス目掛けて空間を疾走する。 「Fire!!」 なのはもまた、ダンテを守護するように、そしてムンドゥスの守りを邪魔するようにディバインシューターを操りつつ、ダンテのやや後ろをムンドゥスの巨体目掛けて駆ける。 自分より遥かに巨大で、力強い相手に挑む。だというのに、その目には微塵の恐れも感じられない。 「ヌアアアアッ!!」 初っ端の大ダメージから立ち直ったムンドゥスが、二人の接近を許すまいとレーザーを放ち、岩石を投げつけ、雷を落とし、そして流星を降らせてくる。 「ガアアア!!」 「どーこ狙ってるの!」 「Flash move」 それでも、二人は止まらない。なのははバリア、ダンテは漆黒の翼でレーザーを弾き、岩石はダンテの火炎弾となのはのディバインシューターが打ち砕き、雷撃はドッペルゲンガーの操るライトニング・プロテクションが無効化。 そして流星はどちらが流星か分からないほどの加速で掠らせることすら許さない。 「ウオオオオオー!」 ダンテの火炎弾の連射は留まることを知らず。ムンドゥスもまた、ダンテの放つ火炎弾をレーザーで迎撃しようと試みるが、なのはの駆るディバインシューターがそれを阻止する。 「Blast!!」 正確無比に誘導された光弾が、無数のレーザーを放つビットのような黒球を発生の瞬間に悉く爆砕する。遮るものがなくなった火炎弾は巨大すぎて回避運動の取れないムンドゥスに片っ端から直撃していく。 「させぬわぁ!!」 雨霰と降り注ぐ攻撃にも、全く怯みを見せない二人に業を煮やしたムンドゥスが怒号を放つ。それと同時に周辺を覆いつくしていたムンドゥスの攻撃が一旦止まる。 「!? 諦めた?」 「違う! 大技来るぜ、避けろよ!」 「塵と―――」 一瞬の停滞。だが、ダンテは次に何が来るか知っていた。そしてなのはもまた、脊髄に氷柱を差し込まれたような悪寒を背筋に感じ、急加速で無理矢理に軌道を変える。 「―――化すがいい!!」 ディバインバスターを遥かに超える極太の熱線が、空間そのものを断ち切らんと迸る。魔帝ビーム、なんの捻りもない名前だが、この戦場でムンドゥスが放つ攻撃の中では単発の威力が最も高い。 さすがのダンテもこれの直撃を受けたらタダでは済まないし、なのはなど掠っただけで半身が吹き飛ぶほどの威力を内包している。 「……とんでもない、ね。でも、当たらなきゃ意味がない!」 凄まじいエネルギー量を肌で感じつつ、なのはは眼前のムンドゥスを睨む。敵の切り札は知れた、発射のモーションやタイミングも覚えた。このまま勝負が進むなら、負ける要素はない。 「ウオオオー!!」 「はあああっ!!」 そして、開幕直後は無限に思われた両者の距離、それをあっという間に詰めきった二人がここぞとばかりに大技を放つ。 「ディバインバスター・ダブル!!」 まずはなのは。二条の閃光は螺旋を描いた後融合し、蒼白い輝きを放ちながらムンドゥスが体の防御に回していた天使のような翼、両翼の重なる一点を槍の如く貫通する。 「オオオーッ!! ヴォルテックスッ!!」 その先に見えた、ムンドゥスのコア。ディバインバスターに追随する形で滑空していたダンテが、雷撃を纏った渾身の回転体当たりをムンドゥス最大の弱点に叩き込む。 身を護るビットを全て破壊され、最後の砦であった翼に大穴が開いた状況で、スパーダと化したダンテを止める術をムンドゥスは持っていなかった。 「グガアアアアッ!!」 「オオオーーッ!!」 コアに直撃してなおその回転を止めないダンテと、その破壊の力に抗うコアが凄まじい発光現象を起こし、闇に染まった空間全体に世界が太陽を取り戻したかのような閃光が走る。 「やった!?」 「いや、まだだ!!」 なのはの耳に、ピシリ、とコアに亀裂が走る音が届いた。だが、その結末を見届けるより早くダンテが翼を広げ、なのはに覆いかぶさってくる。 「ダンテさん!?」 「歯ぁ食いしばれよ!!」 「ガァァァァァァァーーー!!」 体内を蹂躙する想像を絶する激痛がそうさせたのか、周囲には無数の流星群。大技を放った直後の二人に回避する手段はない。 「グアアアッ!」 「きゃああっ!」 二人は成す術もなく流星に叩き落され――― 「効いたぜ……」 「痛たた……」 叩き落された先は最終決戦の場、溶岩の上に突き出した足場が無数にある、火山の中と勘違いするような灼熱の戦場だった。撃墜された二人は、自身もまた傷つき、溶岩の中に堕とされたムンドゥスと対峙する。 姿こそ先ほど変わらず、禍々しい殺気を放っている。だが、先ほどと違うのは覇気だ。押し潰されそうになるほどのプレッシャーを生んでいた覇気が随分と衰えている。 ドッグファイトで二人が与えたダメージは、形こそ見えないけれど確かにムンドゥスを追い詰めている。 (……チッ、こっから先はテメーでやれってか、クソ親父。上等じゃねーか、やってやんぜ!) 急激にエネルギーが失われていくスパーダに内心舌打ち一つ、だが、それを面に出すことはしない。今はいい流れ、この流れを維持して攻勢をかけたいところだ。 ダンテは内心の葛藤を全く感じさせないそぶりで両手を広げ、ムンドゥスを挑発する。 「ハハハ、つまんねー見世物だったな?」 「あんなのはただの遊びよ、貴様等を纏めて叩き潰すにはこの場のほうがふさわしい」 「強がりはたいがいにしときな。さあムンドゥス、年貢の納め時だ。ぶっ飛ばしてやるぜ!!」 ダンテがリベリオンを抜き放ち、中指を立てる。なのはもまた、想像していたより遥かにあっさりムンドゥスを撃墜できたことに士気がレッドゾーンを振り切っていた。 レイジングハートを肩に担ぎ、投げつけるのは嘲りの言葉。見せ付けるのは不敵な笑顔と馬鹿にした行動だ。 「ホント、その三つの目は飾り? でかいだけじゃ、私たちはどうにも出来ないよ」 ダンテが中指を立てるなら、なのはは親指を落とす。二人の態度にあっさりプッツンしたムンドゥスが怒りの咆哮を上げた。 「―――前と同じになると思うな、小物が!」 第二ラウンドの先制はムンドゥス。繰り出された魔帝の拳が、二人の立っていた大地を爆砕する。 それが合図となり、二人は最後の決戦に挑むべく各々行動を開始した。 「おおおおおっ!!」 ダンテは前へ。 「行くよ、レイジングハート!」 「Let s get crazy yeah」 「……分かってるじゃない! ディバインバスター!!」 なのはは後ろへ。 魔界に来てからあまりなかった、二人のコンビネーションが炸裂する。 「鬱陶しい……」 ダンテの頭上を飛び越えて突き進んだディバインバスターは魔力を込めたムンドゥスの左手に弾かれる。 先ほどは効いた一撃があっさり無効化されたことになのはは驚愕するが、そんなのお構い無しとばかりに飛び込んだダンテのリベリオンがムンドゥスに直撃する。 「効かぬ!」 「ちぃ!」 完全に直撃した一撃すら全く歯牙に掛けず、ムンドゥスは再度ダンテを拳で潰そうとする。愛剣の一撃が殆どダメージになっていないことに歯噛みする暇もなく、ダンテはその一撃をかわす。 「消し去ってくれる!」 ムンドゥスの左手と背中から大量のレーザーが迸る。無差別に放たれたそれは、回避行動の結果足場の端に追い詰められ回避行動の取れないダンテと、やはり魔法の発射直後で大きな魔法を使えないなのはへと襲い掛かる。 「うおおおっ!!」 そんな大量のレーザーをダンテは神速の剣捌きで全て薙ぎ払い。 「フラッシュムーブッ!」 なのははシールドを解除、その分の魔力をフィンに叩き込んで一発の被弾もなくかわしてみせた。 「もう一発行くよ、ディバインバスター・ケルベロス!!」 ディバインバスターは弾かれた。なら、弾かれるのを承知で放つ。ダメージが与えられなくても、弾いた腕を凍結させることが出来ればダンテが攻撃に集中できる。 突き進む青白い一撃がレーザーを放った左手へと着弾する。だが―― 「小賢しいわぁ!!」 「くっ……」 凍りついた左腕はすぐさま真下の溶岩へと叩きつけられ、あっという間に元に戻ってしまった。さらに、ムンドゥスが溶岩の中から生み出した炎の龍が咆哮を上げてダンテへと突き進む。 「Shit!!」 全身が溶岩で出来ている相手に突撃されてはたまらない。ダンテは慌ててムンドゥスへの攻撃を中断すると、龍を横から斬り飛ばして大きく距離を取る。 切った際に飛び散った溶岩が服につき、煙を上げて周囲が溶けるが一々気にしている場合ではない。 「Satellite!!」 「サンキュー!」 下がったダンテと入れ替わるようにしてなのはが前に出る。狙いをダンテからなのはへと変えた龍が顎を大きく開いてなのはへと突撃し、その直前放たれたサテライトが龍を吹き飛ばす。 効果は抜群だったが、なのはもまた飛び散った溶岩を受け、バリアジャケットが焦げ落ちる。 「ハァッ!!」 吹き飛んだところになのはの横を疾走してきたダンテの一撃。頭部を切り離された龍は咆哮を上げながら元の溶岩へと還っていく。 だが、不意打ち気味の新たな相手を打ち倒したことを喜ぶ暇もなく、ムンドゥスからの攻撃が襲い掛かる。 「いつの間に……」 「めんどくせぇなぁ、おい!」 ムンドゥスを護るように浮く太陽の如き輝きを放つ白い球。そこから発射される無数のレーザーが襲い掛かる。これもまた、先ほどと同じようにダンテは弾き、なのはは避けるが、ムンドゥスの連撃に反撃の暇を見出せない。 その際にダンテは弾ききれなかったレーザーを受け、受けた場所から血を吹き出し、なのはもまたかわしきれなかったレーザーが掠めた場所から出血する。 「ヌンッ!」 防御に手一杯の二人を尻目に、ムンドゥスの左手から放たれた赤い刃が衝撃波を伴い、大地ごとダンテを真っ二つにせんと迫る。 「しつけぇ!」 一瞬避けよう、と思ったが、それ以上にどこかで攻撃のターンを掴まないとジリ貧だと確信したダンテがムンドゥスの放った赤い刃へと自ら飛び込む。 なのはは目を疑ったが、すぐさま思考を切り替えてダンテを助け、更に攻撃へと導くために、レイジングハートを全力で大地へと叩き付けた。 「Crystal!!」 「ナイスだ!」 「当然っ!」 ダンテが真っ二つになる寸前、なのはの生み出したクリスタルが地中を突き破ってダンテの足場となる。 本来なら真上にいるものを易々と貫く鋭い攻撃なのだが、ちょっと操作してやれば、先がある程度の広さを持った氷柱を生み出すことなどなのはにとっては容易いことだ。 ムンドゥスの刃が氷柱を破壊するが、それより早くダンテは更に前に飛び跳ねて、渾身の力でリベリオンを振るう。 「イィィィヤァァァア!!」 一番近い部分、左手の肘付近に振り下ろされた一撃は、食い込んだ後ムンドゥスの左手をバッサリと切断した。 「ハッハァ!」 「小癪な!」 それでも、切られた左腕を気にすることすらなく、着地の瞬間を狙った右拳がダンテに迫る。 「捻り潰してくれるわ!」 「させない! ディバインバスター!!」 それを阻止せんと、なのはの魔法が突き進む。ダンテに直撃する寸前、その右腕を貫通し、吹き飛ばす。両手を失ったムンドゥス、ダンテはその隙を逃すまいと更に魔剣を駆る速度を上げる。 「小賢しいわ!」 だが、ダンテの一撃を咆哮による衝撃波だけで弾き返したムンドゥスは、失った両手をすぐさま復活させると、マグマに拳を叩きつけて二人の足元から火柱を発生させる。 「アイス・エイジ!」 ファントムに似た攻撃ゆえ、大地が赤く染まった瞬間次の展開を見越したなのはがディバインバスターの詠唱を中断し、周囲に極寒のバリアを生み出した。ダンテとなのはを包み込むように生じた氷の加護が間一髪で火柱を無効化する。 「助かった」 「どういたしまして」 連鎖的に吹き上がる溶岩がおさまるまではこの中から出るに出れない。だが、ムンドゥスもまた火柱を発生させているために他の攻撃ができない。 ダンテとなのはは好機とばかりに作戦を練る。両者とも受けたダメージは比較的浅く、その目は未だ戦意でギラついている。 「どうします?」 「小技でチマチマいくか、大技でぶっ飛ばすか。どっちがいい」 「……大技はまだ取っておきたいですね。あるにはありますけど、使ったらもう何も出来なくなりますから」 「わかった。なら、今まで通りだ。気をつけろよ」 「ダンテさんこそ」 灼熱の溶岩がおさまり、ムンドゥスが周囲に深遠の闇の如き黒い球を生み出す。ダンテはその瞬間駆け出しており、黒球を生み出した隙を逃さない。 なのはもまたアイス・エイジを解除し、ムンドゥスにダメージを与えるというよりはダンテの援護を主体に魔法を組み上げていく。 「なのは! あれを破壊しろ!」 「Alright!!」 ダンテが攻撃を緩めぬままなのはに指示を飛ばす。ムンドゥスの周囲に浮かぶ黒球、これを吸収されるとやっかいだというのは以前の戦いでイヤというほど思い知らされていた。 それでも、そちらに気を取られるとムンドゥスからの攻撃を食らう可能性が出てくる、その状況に随分苦しめられたが、今はなのはという頼りになるガンナーがいる。自分は攻撃に専念すればいい。 「Rock it!!」 放たれる光弾が、ムンドゥスの生み出した黒球を貫き爆砕する。ディバインバスターの効き方から鑑みて、ディバインシューターではムンドゥス本体には殆どダメージは与えられないだろう。 それでも、使い道はいくらでもあると言わんばかりに、持てる技全てを使って立ち向かう。 「おおおおっ!!」 ダンテもまた、周囲を飛び交う光弾のダンスには目もくれずにムンドゥスへ狂ったように剣を繰り出す。一撃一撃が小さくても、積み重ねれば必ず届くと確信して。 「チョロチョロと鬱陶しいわ!」 「ぐああっ!」 「きゃああっ!」 だが、どんなに攻撃を積み重ねたところで、水滴が石を穿つにはかなりの時間がかかる。石のように無抵抗ならいざ知らず、相手もまたこちらを殺そうとあらゆる手を駆使してくるのだ。 我慢比べでは、体力的になのはは相手にすらならず、ダンテもまた激戦の連続で磨り減った精神ではいつまで持つか分かったものではない。今もまた、背中から噴出した超広範囲にわたるレーザーの爆撃をかわしきれず、ダメージを負ったところだった。 「大丈夫か?」 「余裕」 「いい返事だ」 ダンテが再び駆け出す。迫り来るレーザーを弾き、衝撃波を避け、溶岩の上に突き出した足場を文字通り飛ぶように移動していく。 「ヌアアッ!」 「オラァッ!」 そして繰り返される闘い。ダンテの剣は悉くがムンドゥスの巨体に直撃している。そのくせ傍から見ていれば全く効いてるように見えないのだが、そんなことはなのはには関係ない。 「ディバインバスター!!」 そしてまた、聖なる一撃がムンドゥスの目を貫通する。人間ならば確実に急所であろう箇所を貫かれても、仰け反りすらせずにダンテと攻防を繰り広げている。 「セカンドッ(第二射)!!」 それでも、相手の体力は無限ではないのだろう。今は、そう信じて力の限り魔法を撃ち続けるしかない。寸暇を置かず放たれた二発目が今度はダンテを打ち抜こうとしたムンドゥスの右手を爆砕する。 「サードッッ(第三射)!!!」 今まさにダンテを叩き潰そうと迫っていた右手が爆砕され、それでも叫び声一つ上げないムンドゥスに更にもう一発叩き込まれる白き制裁。最後に狙うのは、ヒビが入っているくせに無防備に晒されているコアだ。 「いっけぇぇぇぇぇ!!」 「邪魔だぁ!!」 その一撃が直撃する寸前、コアを防御しようとする左腕をダンテが薙ぎ払う。なのはの操る魔法の威力は折り紙付きだ、たとえ倒せなくとも、コアに直撃すれば甚大なダメージを与えることができる。 「グガアアアッ!!」 ビシリ、とヒビは更に大きく広がる。それでも、ムンドゥスは倒れない。仕返しとばかりにはためく翼から、避けきれない量のレーザーが降り注ぐ。 ダンテは咄嗟に急所を庇いつつ後退、なのははギリギリ掠る程度でかわしつつ、ダンテの前に出てシールドを展開する。二人がムンドゥスの攻撃に耐える間に、コアを除いて与えた傷が全て修復されていく。 「クソッタレ、このままじゃ埒があかねーぞ」 腕を切っても、目を潰しても、すぐさま再生してしまう。もちろんダメージは蓄積しているのだろうが、無尽蔵に思える敵の体力や魔力はいささかの衰えも感じられない。このままでは、体より先に心が折れてしまう。 「ですね……でも」 それでも、特になのははこのままの戦法をもう少し続けるべきだと言う。 ダンテ自身も、なのはの最大魔法がなのはにどの程度の反動をもたらすか分からない以上、万が一失敗したときになのはを護りつつ戦わなければいけなくなってしまう、 そう考えると、やはり博打に出るには早いと判断せざるを得ない。 「さっきの力、使えないんですか?」 「ああ、打ち止めだ。それに、こんな不安定な場所であんな力使ったら足場が滅茶苦茶になる」 「そうですか。なら、しょうがないですね」 「何とかするさ」 「二人で、ね」 「ああ、勿論だ」 先ほど、ムンドゥスを撃墜した際、ダンテは伝説の魔剣士スパーダの力をほぼ完璧に再現していた。だが、今はスパーダから力の波動を感じない。 よって先ほどのようにスパーダの姿になることは不可能だった。それ故、剣としてのスパーダを使ったところでリベリオンと大差ないだろう、という結論がダンテの中で出ている。 「折れるなよ?」 「大丈夫、まだまだいけます」 「オーケイ。派手にいくぜ!」 ダンテが飛び出す。なのはの魔法が吹き荒れる。だが、そんな二人の決死の攻撃をまるで意に介さないムンドゥスが、戦いに幕を下ろすべく死の宣告を行った。 「虫けらが―――絶望の果てに死ねぃ!!」 ムンドゥスが両手をマグマに叩きつけ、上空に跳ね飛ばす。そこから放たれる死の流星群―――メテオスウォームが、ムンドゥスに楯突く全てのものを塵一つ残さず消滅せんと降り注ぐ。 こう狭い足場では、全方位に降り注ぐ流星を回避することは不可能、何とかして撃ち落すしかない。 「レイジングハート、ドッペルゲンガー!」 「Mode Doppel ganger ignition」 「アイス・エイジ・ダブル!!」 圧倒的な流星群を前に、二人のなのはが生み出す絶対零度の鎧が立ち向かう。ダンテとなのはを護るように吹き荒れる二重のバリアが、触れる流星群を灼熱の溶岩からただの石へと変えていく。 「おおおおおっ!!」 その中で、背中になのはを庇いながらダンテが神速でリベリオンを振り回す。剣の壁が氷の鎧を突き破る溶岩の成れの果て、岩石の弾丸を片っ端から弾き飛ばしていく。 「があっ!?」 だが、ダンテの神速の剣を以ってしても視界を埋め尽くす弾丸を全て叩き落すなど不可能だった。撃ち漏らした小さな礫がコートを突き抜けダンテの体を穿つ。 銃弾で打ち抜かれるのと大差ない痛みにダンテの剣は鈍り、一度でも鈍ってしまえば後はただの的になるだけだ。 「クソッ!」 それでもダンテはリベリオンを盾に、急所だけは護ると銃弾の嵐を耐える。今自分が倒れれば、後ろにいるなのはがあっという間に蜂の巣にされる、それだけは何としても阻止しなければならない。 「Shit!」 「やば……!」 そんな二人に襲い掛かる更なる絶望。二人を押し潰して余りある巨大な隕石が凄まじい勢いで迫る。アイス・エイジで防げるのは炎だけ、あの質量そのものを止めることは出来ない。 残る隕石がその一つだけならば、今すぐにアイス・エイジを解除してディバインバスターで撃ち抜くことも出来よう。 だが、今もまだ雨霰と降り注ぐ小さなメテオとそのために灼熱地獄になった周囲の超高温がそれを許さない。 ダンテもまた、自身を削る隕石を無視して叩き割ろうと防御を解こうものなら、すぐさま蜂の巣になることを理解しているがゆえに、巨大なメテオに対して取れる手段がない。 「諦めない……絶対に!!」 「あったりめーだ!」 されど、絶体絶命の状況において二人の目はまだ輝きを失ってはいない。なのはは自身が操るアイス・エイジを解除、周囲の業炎と降り注ぐ隕石へのバリアをドッペルゲンガーに任せる。 解いた瞬間凄まじい高熱がアイス・エイジのバリアを突き破って二人を襲う。服が燃え出しそうな温度の中、なのはは今まさに二人を押し潰さんとする巨大な一発に向けて砲撃を放つ。 「ディバインバスター・ケルベロス!!」 放たれた凶暴な閃光が隕石に直撃、宿る溶岩を消し飛ばし、破壊する。 「イィィィィヤァァァァァアア!!!」 その中、轟音に負けないダンテの咆哮が響き渡り、盾にしていたリベリオンを先ほどを上回る、最早視認すら出来ない速度で駆る。縦横無尽に駆け抜ける剣閃が降り注ぐ砕かれた隕石の欠片を叩き割り、粉塵へと変えていく。 「はぁっ……はぁっ……」 「ゼェ……ゼェ……」 ドッペルゲンガーが消え、アイス・エイジが霧散する。その跡に残ったのは、無茶な魔法行使の反動に膝をつくなのはと、全身に岩石の弾丸を食らって血塗れのダンテ。 ムンドゥス最強の攻撃は辛くも耐え凌いだが、その代償にあまりに力を使いすぎた。 「塵一つ残さぬ!!」 そんな二人に、次いで放たれた極大のレーザーをどうにかすることなど出来るわけがなかった。 「ぐわああああっ!!」 まず、なのはを護るように立っていたダンテの全身がぶち抜かれ、吹き飛ばされる。凄まじい勢いで吹き飛んだダンテが大地をその体で砕くのを見る暇もなく、次弾がなのはに直撃する。 「きゃああああっ!!」 「Reacter purge」 バリアジャケットが爆発を起こして消し飛ぶ。 グリフォンの時と同様、ハジケ飛ぶジャケットがダメージを相殺したおかげでギリギリ致命傷を免れ、それでも止まらないレーザーに全身を切り裂かれながら、なのははダンテ同様吹き飛ばされる。 「フフフ……ハハハハハハ!! これで我が障害は全て消えた!!」 大地に横たわるなのはと岩石に埋め込まれたダンテはピクリとも動かない。 流れ出る血が大地を赤く染め、周囲の熱がそれを蒸発させていくなか、ムンドゥスは動かなくなった二人には目もくれず勝利の哄笑を上げていた。 「フハハハハハハハハハ!! ハーッハッハッハッハッハ!!!」 前へ 目次へ 次へ
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test -- (yoshua) 2009-03-26 19 37 12
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水曜ダンジョン マッドダンテ 死霊種族の進化素材、火属性のスキル書などがドロップします。 アルビノモンスターの出現率やアイテムドロップ率はステージ難易度が上がるほどアップします。 解放条件 第1章「魑魅魍魎の主」クリア スケジュール 隔週水曜 0 00~23 59 隔週日曜(1時間ローテーション時) ①9 00~9 59 ②22 00~22 59 難易度 スタミナ 獲得EXP 獲得GOLD 弱点属性 初級 5 400 800 火属性 中級 10 840 1,600 火属性 上級 15 1,360 2,600 火属性 超級 20 2,160 3,600 火属性 地獄級 30 3,440 5,400 火属性 超地獄級 40 4,760 7,200 火属性 絶級 50 4,800 12,000 火属性 初級~超地獄級 マッドダンテ 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) 死霊 魔法 雷 ★4 20 1748 908 1967 969 966 雷精霊の恩寵【大】 【全】雷属性攻撃1.5倍 詳細 【水曜】曜日ダンジョン、強襲オールスター②、死霊アルビノオールスターズ マッドダンテ(アルビノ) 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) 死霊 魔法 雷 ★4 20 1748 908 2164 969 1043 雷精霊の恩寵【大】 【全】雷属性攻撃1.5倍 詳細 【水曜】曜日ダンジョン、死霊アルビノオールスター アルビノはボスを倒した後に低確率で出現(難易度が高い方が出現率も高い) ドロップアイテム(初級~超級) 結晶石 進化素材:死霊の魂、死霊の超魂、虹の超魂 進化スキル書:【怨呪】炎斬の書、【怨呪】炎の書 スキル書進化素材:強進の勾玉、強進の珠、火の宝珠、火の宝玉 SRスキル書:ダブルサンダーの書 ドロップアイテム(地獄級・超地獄級) 結晶石 進化素材:死霊の魂、死霊の超魂、虹の超魂、死霊の極魂 SRスキル書:ダブルサンダーの書 ブレイク系スキル:炎魔崩波(地獄級ボス)、火攻崩波(超地獄級ボス)、防崩火波(アルビノ) 超級まではモンスター進化素材、スキル書進化素材などがドロップ。 地獄級からはボスがフォース(Mフォース)ブレイク、アルビノボスがガードブレイク系のスキル書をドロップします。 極魂もドロップしますがブレイク系スキル書、極魂のドロップ率はかなり低いです。 絶級 マッドダンテ(アルビノ) 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) 死霊 魔法 雷 ★4 20 1748 908 2164 969 1043 雷精霊の恩寵【大】 【全】雷属性攻撃1.5倍 詳細 【水曜】曜日ダンジョン、死霊アルビノオールスター バスターダンテ 種族 タイプ 属性 レア コスト HP 攻撃 魔力 防御 素早 パッシブスキル名 パッシブスキル(最大時) 死霊 魔法 雷 ★5 25 1940 1008 2402 1066 1148 雷精霊の恩寵【極】 【全】雷属性攻撃1.85倍 詳細 【進化素材】猿帝聖ハヌマーン(アルビノ)、ヴリトラ絶滅種(アルビノ)、大精霊ラタトクス(アルビノ) 絶級ではアルビノが固定ボスとして出現、倒した後に低確率で★5が出現します。 ドロップアイテム(絶級) 進化素材:虹の超魂、死霊の極魂、族長の超魂、神の魂、神の超魂 ブレイク系スキル書:超炎魔崩波(アルビノ)、超防崩火波(★5) 絶級ではブレイク系スキルの上位版が低確率でドロップします。 曜日ダンジョン 1週目 月曜 大司教ルーシー 火曜 デスクジャタ 水曜 深死海棲姫レテナ 木曜 大凶神キュウキ 金曜 ヴリトラ絶滅種 土曜 極黒曜トリポカ 日曜 メイデンガール 曜日ダンジョン 2週目 月曜 豪炎剣神ラックル 火曜 大精霊ラタトクス 水曜 マッドダンテ 木曜 兇サラシナ邪姫 金曜 デスカオスギドラ 土曜 猿帝聖ハヌマーン 日曜 1時間ローテーション| 今日 - 昨日 - 合計 -
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Lyrical Magical Stylish Mission 12 Fated Twins 「バージルゥ!!」 「ダンテェェェ!!」 一瞬の停滞の後、二人の刃が死闘の幕開けを告げる鐘の役割を果たした。 「……凄い」 なのはの呟きは金属音に混ざり、風に流れ消えていく。なのはは眼前の常軌を逸した光景に瞬きも忘れて見入っていた。家が剣術をやっていることから、なのはも多少は剣の知識があった。 だからバージルの使う技は居合いということも理解できた。それでもなお、その悪魔の技には感嘆の声しか出てこない。 柄に手を掛けた瞬間には振るわれていて、次の瞬間には鞘に収まりもう一撃放たれる、その繰り返し。本来、一撃必殺で二撃目がない居合いのはずなのに、バージルは一撃必殺の剣を連続して放っているのだ。 しかも、一撃一撃を視認できない高速で。 そして、それを受けるダンテもまた信じられなかった。次々と放たれる不可視の剣をどういうわけか知覚し、リベリオンで弾き、そしてあまつさえ反撃すら行っている。 完全に人間を超えた、もはや幻想的とも言える光景だった。 「イヤァァッ!!」 「フンッ!!」 そして、戦闘を始めてからまだ間もないというのに既に何度目になるか分からない弾き合いの後、計ったかのように離れて距離を取る。 互いが互いの剣を完全に熟知しているがゆえに、両者は余人の全く踏み込めない領域で拮抗していた。 「ったく、相変わらず恐ろしい剣だな」 衝撃に痺れる手を振りながらダンテがぼやく。だが、バージルの本気はこんなものではないし、ダンテもまたそうだった。こんなのはお遊び、予定調和の取れたただの挨拶代わりだ。 「―――Let s begin the main event.(メインイベントを始めようぜ)」 「―――Rest in peace.(楽にしてやる)」 さあ、本番はここからだ。間合いをもう一歩詰めよう。 「おおおっ!!」 「ハアッ!!」 さらに速度を増してぶつかり合う剣。だが、先ほどと違うのは――― 「! 血が……」 剣と剣がぶつかり合う金属音、それによって生じる激しい火花。それ以外に、計ったかのように両者から同時に舞う血飛沫。今まで互いに完璧な防御を見せていたのに、何故突然血が混じったのか。 その理由は簡単、両者とも確実に致命傷となりえるだろう攻撃だけを防ぎ、多少の傷は無視しているからだ。 ダメージを抑えることよりも、自分が貰うダメージ以上のダメージを相手に与える、二人が選んだのは文字通り骨身を削り続ける戦法だった。 どのぐらい血を流しながら斬り合っただろうか、冷静に時計を見ればきっと驚くほど短い時間だが、ダンテにとってはもの凄く長く感じた一瞬である。 互いに無数の傷を負い、傷を与え、それでもなお剣戟は一向に衰えぬ、それどころかより激しさを増している。 「―――Wasting time!!(時間の無駄だ!!)」 悪魔の血を引くダンテとバージルにとって、多少の掠り傷など何の意味も持たない。周囲に満ちる瘴気と魔力によって高められる悪魔としての性質が、そんな掠り傷などほんの数合のうちに治してしまうからだ。 千日手、このままでは永劫勝負がつかなかっただろう打ち合いを動かしたのはバージル。埒があかないと踏み、遂に引き金(トリガー)を引いたのだ。 「ガアアアッ!!」 「どわっ!?」 バージルを中心に爆発的な魔力が渦巻き、打ち合っていたダンテが吹き飛ばされる。 「!! ダンテさん!」 「ちぃぃ!」 吹っ飛んだダンテを追って迸る剣閃。魔人バージルの放つ空間斬りが、空中でロクに身動きの取れないダンテに襲い掛かる。死の一撃がダンテに突き刺さろうとした瞬間、剣戟の場にそぐわぬ銃声が連続で響く。 「危ねぇな、オイ!」 ショットガンを連続でぶっ放し、強引に吹っ飛びの軌道を変えて辛くも避ける。 「……滅茶苦茶だ」 端で見ていたなのはがダンテのあまりに滅茶苦茶な回避に呆れ果てる中、着地し、すぐさま転がって二撃目を避け、さらに大きく跳ねることによって三撃目もギリギリ避けきったダンテがバージルに向かって疾走する。 「やってくれるぜ!!」 遠距離では勝ち目がない。銃撃が全て剣で斬り飛ばされる上、神業じみた空間斬りを防ぐ手段がないのだ。ならばどうする? ―――答えは簡単、近付いてぶっ飛ばす。 「シャアアッ!!」 ダンテが駆け抜ける。それを阻止せんとバージルの居合いが放たれるが、驚異的な加速で飛び込むダンテはそのスピードを維持したまま物理法則を全く無視したかのような体捌きで辛うじて致命傷を免れる。 傷を負っていることに変わりはなかったが、ダンテにとってはそれで十分。 「オラァッ!!」 「フンッ!」 加速をつけたリベリオンが魔人と化したバージルを掠める。居合いを放った直後、刹那の死に体状態に打ち込んだ神速の一撃ですら致命傷にならないことにダンテは内心舌打ちし、首を狙って飛んできた一撃を皮一枚で避ける。 そこから先はついさっきと全く同じ、互いに僅かな傷を負わせつつ、拮抗した戦闘が続く―――少なくとも、横で見ていたなのははそう考えていた。 だが、トリガーを引いたバージルと引いていないダンテ。この差が、徐々にだが確実に天秤をバージルへと傾けていく。 ダンテの攻撃が見る見る少なくなり、ただひたすらバージルの剣を受けるだけになってきていた。そんなダンテの防御を突き抜けた攻撃が、ダンテの体をあっという間に血で染め上げていく。 「まだ、まだぁ!!」 ダンテが咆哮を上げ、劣勢を覆すべく魔剣リベリオンが更に速度を上げる。人外の速度で振るわれる刃。だが、バージルはダンテの剣を全て無傷で弾き返し、ダンテはバージルが攻撃するたびに傷を負っていく。 それでも何とか致命傷を避け続けていたダンテだが、ついに勝利の女神はその身全てを力へと捧げた男の方へ微笑んでしまった。 「ぐあっ……!」 「鈍ったな、ダンテ」 逆転に一縷の望みを賭けた特攻に近い形で振るわれたダンテ決死の一撃をバージルは首の皮一枚犠牲に避け、そしてバージルの一撃がダンテの腹を深く切り裂き、返す刃が肩から脇に抜けるまで振り抜かれる。 血飛沫が舞い、それでも諦めないダンテは止めとばかりに放たれた垂直の唐竹割を辛くも防ぐが、その硬直に蹴りを食らって吹き飛ばされる。 「ぐ……そういうアンタこそ、前より鋭くなってがあああっ!?」 片膝をつき、剣を支えに倒れることだけは免れていたダンテだが、強がりを言おうとしてバージルが放った幻影剣に貫かれ絶叫する。 そして、続けざまに放たれた幻影剣を避けることすら出来ず、ダンテはついにその場に崩れ落ちた。 バージルは魔人状態を解除し、全身から夥しい出血をしながらも意識を失わずバージルを睨みつけるダンテに、閻魔刀の切っ先を突きつけながら問う。 「……何故、トリガーを引かない」 「ぐ……引く必要が、ないからな」 「……愚かだな、ダンテ。本当に、愚かだ」 「へっ……まだ、勝負は、ついちゃいない、ぜっ!」 諦めないダンテが苦し紛れに銃を乱射するが、そんなものが通じるバージルでもない。 全て切り払うと、弾が切れて撃鉄の音だけを虚しく響かせる銃をそれでも引くダンテに向かってゆっくりと歩き出す。 ―――今助けに行かないと、ダンテは死ぬ。 その思いが横で見ていたなのはの頭を占める。だが、そんな思いに反して足は鉛にでもなったかのようにピクリとも動いてくれない。 (助けに行って……助けられるの? 私が、あの人を、止められるの?) かつて、この世で最強の悪魔、魔帝を倒したダンテ。そのダンテを倒すダンテの兄バージルを、ダンテに助けられてばかりだった自分がどうこうできるのか。 浮かぶのは、一瞬の後に二つに分かれる自分の姿。決して身体能力に優れているわけではない自分に、あんな剣が飛び交う嵐の中に飛び込める資格なんかあるわけがない。 でも、それでも。 (……助けられる、助けられない、じゃない。助けるんだ、私が、ダンテさんを!!) 今まで何度も助けられた。その借りを、今返さなくていつ返すのか。 (大丈夫。私だって、強くなった。それに、私たちは絶対に負けられないんだ!) それ以上に、譲れないものがある。帰りを待つ家族のためにも、外で戦う親友のためにも。今、ここで退くわけにはいかない。 目を閉じ、深呼吸。それで、ぐちゃぐちゃだった頭は嘘のように軽くなり、固まってた体は信じられないほど軽くなった。 ―――さあ、行こう。 心を砕こうとする死への恐怖を鋼の意志で押さえつけ、震える体をそれを上回る信念で叱咤し、なのははゆっくりと歩き出した。 「……む」 バージルの足が止まる。それもそのはず、傍観を約束していたはずのなのはが、ダンテを守るように立ち塞がったからだ。その目に、強い決意の光を湛えて。 「何の真似だ、小娘」 「見て分かりませんか?」 「おいなのは、俺は手を出すなって言っ!!」 ダンテの台詞は最後まで続かない。なのはが魔力を込めたレイジングハートで思いっきりダンテの頭をぶん殴って吹き飛ばしたからだ。 「ぐっ……」 「少し、頭冷やそうか」 吹っ飛ばされた衝撃が傷に響いたのか、ダンテは低くうめき声を上げてその場に蹲る。 なのははレイジングハートを肩に担ぎ、いつも組み手で自分を吹っ飛ばした挙句見下ろしてくるダンテと同じポーズで、ぶっ飛ばしたことを悪びれる様子もなくダンテに言う。 「Shut up. こんなのも避けられない怪我人は黙って見てなさい」 「なのは……!」 「兄弟喧嘩だし、平和に終わるなら傍観していようと思いましたけどね。ダンテさんが殺されるっていうなら話は別」 「だから……人の話を」 「聞くのはそっちですよダンテさん。いいですか、ダンテさんがここでやられたらどうなると思います?」 「……それは」 「海鳴は地獄と化す。それだけじゃない、今門の外で戦ってるクロノ君やフェイトちゃんもどうなるか分からない。私は、そんなの認めない」 「…………」 ダンテは言葉に詰まる。内容もさることながら、なのはの眼光に何も言えなくなってしまっていた。なのははダンテから目を外すと、バージルに向き直りながら言葉を続ける。 「それだけじゃない。今ダンテさんが殺されたら、どの道私もバージルさんに殺される。相手にされなかったとしても、結局私一人じゃ外まで帰ることすら出来ない」 「だからって……」 「甘く見ないでください。これでも散々ダンテさんにしごかれたんですから、ダンテさんが傷を治す時間ぐらい稼いで見せます」 「ちっ……もう知らねぇぞ」 「Yeah」 バージルはダンテの判断に驚愕するが、ダンテは大の字になってぶっ倒れてしまった。どうやら、本気でなのはにバージルの相手をさせるつもりのようだ。 「というわけです。水を差して悪いとは思いますが、貴方の相手は私です」 「……俺も舐められたものだ。今退くならまだ見逃してやるが?」 「You scared?(ビビッてんのか?) 小娘相手に恫喝なんて」 視線だけで気の弱い人なら殺せそうな、そんなバージルの眼光を受けて、それでもなのはは怯まず、不敵に笑い飛ばしてバージルにレイジングハートを突きつけた。 「……いいだろう。俺に楯突いたことを後悔して、死ね」 バージルが刃を鞘に収め、居合いの構えを見せる。バージルの居合いの速度は既に人の認識を超えた速度。まともに食らえば、食らったことすら分からず絶命するだろう。 なのはは突きつけていたレイジングハートを下ろし、静かに魔力を込め、魔法の用意をする。 「…………」 「…………」 なのははただボケッと二人の戦いを見ていたわけではない。自分との組み手で見せたダンテの動き、そのレベル差から推測する兄バージルの強さ。 そして、全力のダンテと打ち合うその技量。余りのレベルに震えそうになりながらも、”もし私が戦うことになったら?”というイメージをひたすら頭の中で行っていた。 今までの結果ではただの一度もバージルに傷を負わせることすら出来なかったが、イメージ上で散々殺されることにより、たった一つではあるが勝ちへの道を見出していた。 最早言葉は要らない。一瞬の後放たれる刃は避ける暇もなくなのはを切り捨てる。バージルもなのはもそれは分かっていた。その運命になのははどう抗うのか。 「……Die」 「……!!」 バージルの呟きが風に流れる。その声を聞いた瞬間、既にバージルはなのはの後ろで刃を鞘に収めて―――二つに分かれ、血飛沫を撒き散らしながら倒れようとするなのはが溶けるようにして消えていく。 「After image, successful」 「!? 幻覚か!!」 バージルが気付いた時にはもう遅い。すでに上空でなのはが発射の体勢を取っている。 「ディバインバスター!!」 「ちぃ!」 やはりバージルは、なのはを小娘だと侮っていた。その驕りが生んだ僅かな時間、その一瞬を狙っていたなのはの魔法を避けることは常人には不可能だ。 なのはの放つ極大の一撃がバージルを襲う。並みの悪魔ならそのエネルギーに耐え切れず、一瞬にして溶解するレベル。 だが、最強の悪魔狩人であるダンテと拮抗するその兄バージルは、一瞬の後の死の運命に抗う術を持っている。 「はあっ!」 トリックアップ。一瞬で上空に移動する技巧であり、バージルの神速の剣技を不動のものにしている体術である。ディバインバスターが直撃する寸前に飛び上がり、無傷で砲撃をかわす。 逆にディバインバスターを発射しているなのはには上に現れたバージルの攻撃をかわすことは出来ない。振るわれた一撃は三つに分裂し、小さな体を只の部品へと切り裂いて――― 「これも幻覚だと!?」 切り裂かれたなのはが消えていく。だが、先ほどとは違い斬った瞬間手ごたえを感じなかったバージルは、すぐさまなのはの居場所を探り、そして驚愕する。 ドッペルゲンガーとの入れ替わりがギリギリ間に合わなかったのか、バージルの描いた軌跡そのままに背中がバリアジャケットごと裂かれ、血を流している。 それでも、今ここで攻撃の手を緩めるわけにはいかないとばかりに、自身の周りに無数の光弾を浮かび上がらせている。 「Rock it!!」 「ちぃ!」 なのはの掛け声と共に飛来した光弾がバージルの周囲を高速で旋回する。なのはが展開したディバインシューター、その数なんと二十。 バージルも剣でそのうち十を叩き斬るが、残りの全てが同時にバージルへと襲い掛かり――― 「Blast!」 なのはの起動で大爆発を起こす。咄嗟に防御体勢を取ったものの、バージルとて全方位を完全に防御できるわけではない。 強烈な爆発はバージルの体を吹き飛ばし、それでも倒れぬバージルが受身を取った瞬間、輝く白光が目を焼く。 「行くよ!!」 「く……」 「ディバイン・バスター」 「「Ceruberus!!!」」 ダメージは意外と大きく、回避行動を取ろうとしたが言うことを聞かない。さらに、見ると体のあちこちが凍りついていた。なのはが得たケルベロスの力による凍結の効果である。 凍った手足に気を取られた瞬間、放たれたなのはの極大魔法が空間そのものを破壊しつくす勢いでバージルに襲い掛かった。 「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」 二度にわたるドッペルゲンガーの展開と入れ替わりに加え、一瞬ではあるがディバインバスターとドッペルゲンガーの同時行使、さらにディバインシューターとディバインバスター・ケルベロスの同時攻撃だ。 さすがに精根使い果たしたなのはが、地に下りて荒い息を上げる。 「これが、私の全力……」 今ので倒せていなかったのなら、なのはに勝ち目はない。多少強引ではあったが、不意をつく形でこれ以上ないくらいに決まった必殺の連携なのだ。 バージルが耐え切っていたのならば、次はもう無理。バージルに油断はない。あの剣を凌ぐなんて不可能だ。 「……やってくれたな」 「……やっぱり、こうなるよね」 だが、どこかこの展開を知っていた。なのはは大きく深呼吸して息を落ち着かせると、フラフラながらしっかりと立ち上がる。 立ち込める霧氷の中から現れたバージルは、一瞬バージル本人かどうかを見間違うほど禍々しいオーラを発している。それもそのはず、耐えられないと踏んだバージルは躊躇いなくデビルトリガーを引いていた。 その結果、彼自身の体に流れる悪魔の血が、ダメージを最小限にまで押さえ込んだのだ。 また、あまりに無茶な展開をしたために最後のディバインバスター・ケルベロスの威力が、全力時の半分程度だったことも理由として挙げられよう。 なのはのイメージではギリギリ最大出力が出せると踏んでいたが、どうやら幸運の女神はなのはに微笑まなかったようだ。 「小娘と呼んだことは詫びよう……貴様は十分な戦士だ」 デビルトリガーを解除し、バージルはなのはに賞賛を送る。たかが小娘と侮っていた存在にここまでダメージを負わされるのは、バージルにとっても完全に予想外だった。 「それは、どうも……それから、小娘じゃなくて、高町なのはです」 「高町、なのは……そうか」 だが、なのはにとってそんなことはどうでもいいのだ。次の瞬間に放たれるかもしれない死の一撃から逃れるべく、なのはは適当に返事をしながらも必死で次の策を考える。 「だが……少し足りなかったな」 「まだ、終わったわけじゃないよ」 焼け付く勢いで頭を回転させても、出てくるのは”死”の一文字だけ。リーチで勝るバージルに勝つには、初撃を何としてでも防ぐなり避けるなりしないといけない。 今また魔法をチャージしようものなら、その瞬間バージルの剣は飛んでくる。切り裂かれた背中の痛みに耐えながら、一瞬の後に飛んでくる死の運命に怯えながら、それでもなのはは毅然と立ち向かう。 「私は、諦めない。貴方が立ち上がるなら、何度だってぶっ飛ばしてあげるんだから」 「……ならば、やってみるがいい」 バージルの姿が消える。消えたわけではなく、ただ高速で移動しているだけなのだが、なのはの目には影すら映らない。 どこから飛んでくるか分からない、一撃貰ったらそれで終わりの剣。なのはは必死でシールドを展開し、死の未来へ抗う。 「無駄だ!」 しかし、バージルの剣をシールド程度で止められるはずもない。やすやすと切り裂かれたシールドは消滅し、シールドを消すために振るった剣がシールドだけでは飽き足らずなのはのバリアジャケットを貫通する。 裂かれた袖が風に舞い、ワンテンポ遅れて血が吹き上がる。 でも、まだ死んではいない。絶対条件だった初撃のやり過ごしを達成したのだ。得物が剣である以上、バージルは必ずなのはの側にいるのだから。 「終わりだ!」 「まだっ! Satellite!!」 レイジングハート・ケルベロスが凶悪な発光を見せたかと思うと、なのはの周囲に雹の嵐が吹き荒れる。バージルの姿が追えていなくても、これならば相手を見る必要もない。近くにいれば、それでいい。 「ふんっ!」 だが、雹が体に当る音が聞こえてこない。吹き荒れる風の音に混じって聞こえるのは、バージルが雹の弾丸を切り裂く金属音だけ。 銃弾すら切り裂くバージルにとって、数が多いだけの雹など脅威でも何でもないのだ。 だが、雹の処理に追われて手が封じられているのは紛れもない事実。その嵐の中心で、なのはは目まぐるしく周囲を探る。 「見つけた……!」 サテライトはバージルの姿を視界に入れるためだけに発動した技。次の一手は絶対の死角から飛んでいく強烈な一撃だ。なのはは渾身の力でレイジングハート・ケルベロスを地面に叩きつけ、腹の底から叫ぶ。 「貫け! Crystal!!」 叫びに応えるかのように地中を突き破って飛び出す氷柱。体を下から上まで貫いて余りある巨大なそれは、狙い違わずバージルの足元から炸裂し――― 「遅い!!」 突き刺さる直前、振るわれた刃によって全て根元から切り捨てられる。なのははそのあり得ない光景に目を疑うが、今止まることは死と同義。クリスタルでも無理ならば、それを上回る攻撃をするだけだ。 「It s cool!! Million Carats!!!」 なのはを護るように、そして、周囲の空間そのものを刺し貫くように突き上げられた無数の氷柱。サテライトと同じく全方向攻撃であるそれは、バージルが閻魔刀でなのはを狙っていたのであれば確実に直撃するであろう一撃。 「無駄だと言っている!!」 それすら突き上げる直前に全て切り捨てられた。人知を超えた悪魔の技に、さすがになのはも杖を強く握り締める。これで、自分が出せてバージルに当りそうな技は全て出し切ってしまった。 同じ技が二度通じる相手とも思えない以上、なのはに打つ手は事実上なくなったといえる。 「……まだ」 それでも諦めず、モード・ケルベロスとモード・ドッペルゲンガーの同時行使まで視野に入れた次の一手を模索しようとした矢先、切られて消え行く氷柱の一部が砕け散り、何事かと思う暇もなくなのはの太ももに灼熱の感触が走る。 「え……?」 何が起こったのかもわからないまま、直後脳天まで突き抜けた激痛に悲鳴すら上げられないまま身を震わせる。 耐え切れずに崩れ落ちたなのはが見たのは、自分の太ももに深々と突き刺さった幻影剣だった。だが、そんな絶体絶命の状況において天はなのはに味方をする。 崩れ落ちる際の倒れ方があまりにも絶妙のタイミングであったため、バージルが首を狙って振るった刃が本当にただの偶然だが空を切り、髪を数本斬り飛ばしただけに留まったのだ。 「悪運もここまでだ!」 それでも、バージルは止まらない。なのはの悪運に舌打ちするも、飛び上がり、今度こそ仕留めそこなわないよう逃げ場のない上から叩き潰そうと剣を振り下す。 そしてなのはは薄れゆく意識の中、最後の足掻きを見せる。 「……Go to the hell」 なのはの呟きは風が邪魔をしてバージルには届かない。今、この状況に限りなのはには絶体絶命の状況を覆すだけの力があった。 「ヴォルケイノ!!」 「なにぃ!?」 吹き上がった白光がバージルを吹き飛ばす。ダンテがなのはに預けたベオウルフ、その中でもなのはが振るえる最強の技が、もはや抵抗の術無しと防御を全く考えてなかったバージルに炸裂する。 「ぐうっ……ベオウルフ、だと……!」 「…………」 予想外の一撃に吹き飛ばされたバージルは、それでも倒れない。魔力の殆ど切れたなのはでは、ダンテほどの威力が出ないのも当然である。 しかも、どうやら本当に最後の一撃だったようだ。ベオウルフを抱きながら倒れたなのはは気絶しているようでピクリとも動かない。流れ出る血が、バリアジャケットと大地を徐々に赤く染めていく。 「……抵抗もこれまでか。俺とここまで戦えたこと、あの世で誇るがいい」 動けないなのはに無情にも振るわれる剣。狙い違わずなのはの首元に吸い込まれるように閃いて――― 「レディはもっと大事に扱うもんだぜ?」 横から飛び出してきたダンテの剣が、すんでのところでなのはの死を止めた。ダンテは受け止めた閻魔刀ごとバージルを吹き飛ばし、なのはに優しく微笑みかける。 「ホント大したガッツだぜなのは。まあ、頑張りすぎたな。ちょっと休んでろ」 「……ダンテさん」 一瞬本当に気絶していたなのはだが、澄んだ金属音と続いて聞こえてきたダンテの声に意識を取り戻す。だが、限界を無視して動かした体はどうやら完全にオーバーヒート状態にあるらしく、全く言うことを聞いてくれない。 それでも、なのははやりきった感いっぱいだった。 「後は、俺がやる」 「……お願いします」 言ったとおり、ダンテが回復するぐらいの時間は稼いでみせた。あとはダンテがやってくれる。なのははレイジングハートに傷の治療を任せてしばらく意識を飛ばすことにした。 「なに、お前がここまで頑張ったんだ。無駄にはしないさ」 ダンテの声が、やけに遠く聞こえた。 「……ダンテ」 「ハハハ、随分派手にやられたじゃねーか」 吹き飛んだバージルに悠然とリベリオンを突きつけるダンテ。先ほどの致命傷など何事もなかったかのようにしっかりと大地を踏み締めて、あたかも傷が完治して見せたかのように振舞う。 「……この短時間で完治だと? 笑わせる」 「だったら、試してみればいいじゃねーか。ホレ、かかって来いよ」 「ダンテェェェ!!」 「来な! バージル!!」 十分な助走をつけた疾走居合い、そしてそこから続く悪魔の連撃がダンテめがけて叩き込まれる。ついさっきまでは、受けることしか出来ず、それですら傷を負っていたバージルの攻撃。 「―――ハッ、つまんねぇ攻撃だなオイ」 「バカな……」 ダンテの嘲笑、それに続くバージルの呟き。 ダンテは人の目には映らぬ速度の疾走居合いを軽々かわし、かわした隙に放たれた連撃を全て叩き落していた。 「どうした、もう終わりか?」 「……ふざけるな!」 怒気も露に、バージルの剣が分裂したかのように迸る。ダンテはそれを涼しい顔で受け流す。そのあり得ない筈の光景にバージルは愕然とする。 (何故だ……! 確かに俺もダメージを負った。だが、それを差し引いたとしてもダンテのほうが重傷のはず!) バージルの考えはまさしくその通りだった。事実、ダンテの体は動いたために開いてしまった傷跡から再び血が流れている。 そもそも、いくら悪魔の血を引いてると言えど、あれほどまでの致命傷がこんな短時間で治るわけないのだ。傷が生む痛みは集中力を乱し、流れ出る血は体温と運動能力を奪っていく。 共に万全の状態で戦闘力が拮抗するのであれば、より深い傷を負ったダンテがバージルを凌駕することなどあり得ない筈なのに。 「遅いぜ?」 「ぐっ……!」 「オラァ!!」 「がああっ!?」 だが、現実はこうだ。今まで一度もクリーンヒットしなかったダンテの攻撃が遂にバージルを捕らえるまでに至っている。 その理由が分からない限り、このまま接近戦を挑むのは危険と判断したバージルが距離を取る。 「認めんぞ!!」 ダンテと同じように腹を薙がれ、肩をバッサリと裂かれて膝をつくバージル。 それでも折れず、放たれたのは幻影剣。ダンテを包囲するように浮いた六本が一斉に襲い掛かる。 「インフェルノォ!!」 だが、幻影剣が突き刺さる刹那、吹き上がった地獄の業火がダンテに牙を剥いた矢を悉く粉砕した。 揺らめく炎を呆然とバージルが見つめる中、悠々とダンテは歩いてくる。 「何故……何故だ!!」 「―――分かんねぇか? どうしてアンタが、俺に勝てないのか」 「……貴様ぁ!!」 「一つだけ、教えてやるよ。俺が今、こうやってアンタを追い詰めてるのはな」 ダンテはそこで一旦言葉を切り、自身の中で張り裂けそうになる思いと共に告げた。 「―――アンタがとっくの昔に、捨てちまった力のおかげさ」 人間だけが持ちえる、魂とそこに宿る底力だ。 「戯言を……!」 力だけを追い求め、力だけを信じてきたバージルにはとてもじゃないけれど認められないダンテの言葉。力を生むのは力、そう信じて、今までひたすら剣を振るってきた。それを疑うなど、自身の生そのものを否定するのと同じ。 「まあ、俺もついさっきまでは忘れてたんだけどな。なのはのおかげで思い出したよ」 ちらり、と後ろで寝ているなのはを見て、そしてバージルへと向き直る。 「だから、アンタは俺には勝てない。それは、俺が人間だからだ!!」 「ふざけるなぁ!!!」 「―――だったら、見せてみろよ。アンタの力はこんなもんじゃないだろう!」 「おおおおおおおっ!!!」 ダンテが走る。バージルもまた、なりふり構わぬ大声を上げてダンテに向かって疾走する。間合いは瞬く間に縮められ、互いの全てを賭けた渾身の一撃が交差する。 バージルがダンテを頭から二つにするほどの唐竹割、ダンテはバージルを腹から二つに割る横薙ぎ。互いに防御を完全に捨てた、相打ちになるはずの一撃。 (アンタは負ける。だが、それはアンタが弱いからじゃない。助っ人の活躍さ) それでも、ダンテは負ける気がしなかった。脳裏に浮かぶのは、自分の窮地を救ってくれた人物の姿。 ズタズタになりながら、それでもダンテを信じて戦った少女の姿がフラッシュバックする。 (アンタは強い、アンタは負ける。アンタが負けるのは俺じゃない、アンタは―――なのはに、負けるんだぜ!!) 剣が全く同時に振り抜かれる。しかし――吹き出た血飛沫は一人分。刃がまさに触れるその瞬間、バージルの目にすら映らぬほどの踏み込みを見せたダンテがバージルの一撃をかわし、そのままリベリオンが大きくバージルの腹を薙ぎ払ったのだ。 「……俺は、また負けるのか」 「だから言っただろう? 人の話は聞くもんだぜ」 膝をつき、息も絶え絶えなバージルにダンテが言う。バージルは、先ほどダンテが言っていた言葉を思い出していた。 「……人間の、力か」 「そうさ。情けない話だがな、俺はいつだって肝心なときには誰かに支えてもらってた。レディ、トリッシュ、オヤジ、そして―――」 「……高町、なのは」 絶体絶命のダンテを救い、魔剣士スパーダの血を引くバージル相手に一歩も引かず、結局バージルがダンテに対してまたしても遅れを取ることになった最大の要因。 「ああ、俺はいつだって一人じゃなかった。それは俺が人間だったから、人間として戦ったからだ、俺はそう信じてる」 「―――それが、スパーダの」 「魂の力」 「……なるほど、な」 同じように父を尊敬した。だが、バージルはその力を追い求め、ダンテはその魂を受け継いだ。 誰かを想い、その想いを力に変える人としての魂を。 「―――征け、ダンテ。魔帝はこの先にいる」 最後の言葉と、唯一現実のものだったアミュレットを残し、バージルは消えていった。ダンテはアミュレットを拾い上げると、しばし見つめた後に握り締め、笑みを浮かべて虚空を見上げた。 「やれやれ、相変わらず素直じゃない兄貴だぜ」 アミュレットをポケットに仕舞い、グースカ寝こけているなのはの元へ歩く。硬い地面の上で、これまた硬いレイジングハートを枕に眠るその顔は完全に少女のものだ。 「……こーやって見るとホント年相応のガキなのにな」 全く、あの信じられない程の意志の力はこの小さな体のどこから沸いて出てくるのやら。 ダンテは起こそうかとも思ったが、今回バージルを退けることが出来たのは間違いなくなのはのおかげだった。なら、好きなだけ眠らせてやろう、と思い直す。 最後の戦いに臨むのに、マイナス要素は残したくない。 「やれやれ」 コートを脱ぎ、なのはに掛けてやる。その横に腰を下ろすと、バージルの消えた箇所を見つめ、楽しそうに呟いた。 「―――これだから人間はやめられない、そうだろう?」 前へ 目次へ 次へ
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サースタッフォードノースコート(サー・スタッフォード・ノースコート) ヘインのノースコート準男爵の一。 6代準男爵。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/2011.html
Lyrical Magical Stylish Mission 11 Killing shade 「……つくづく使えぬ連中だ。役立たずどもめ」 「そーいうテメーも相変わらず図体だけがでかいだけじゃねーのか? ええ、ムンドゥス!!」 ダンテの放った”ムンドゥス”の一言になのはの体を戦慄が走り抜ける。魔帝はこんなにも強大な存在だったのか、と。恐怖で叫びだしそうになる体を必死で押さえつけ、なのはは今回の騒動の元凶、その存在を心に刻む。 「囀るな、小物が」 「その小物に一度ぶっ飛ばされてるのはどっちだよ」 「ならば我が前に立って見せよ。その時こそ真の絶望を味あわせてやろう。ハーッハッハッハッハ!!!」 今はまだ、相手としてすら認められていないということか。霧散していくムンドゥスの気配に、なのはは憤りを覚えながらも今この場で戦闘にならなかったことに安堵の溜息を漏らす。 もっとも、ダンテは忌々しそうに舌打ちすると、消えゆくムンドゥスに中指を突き立てていたが。 「チッ……相変わらず胸糞ワリー野郎だぜ。なあ?」 「……そうですね」 「なんだ、ビビッたのか?」 「まさか。あんな俗物だとは思わなかったから驚いただけです」 正直に言えば、存在のレベルが違いすぎると思った。でも、ここまできた以上退くわけにはいかないのだ。震える心を鉄の意志で押さえつけ、なのはは虚空を睨んで言い放った。 「だってそうでしょう? グリフォンにしろファントムにしろ、自分、魔帝のために命を賭けて戦ったんですよ。それをあんな風に言うなんて、正気の沙汰とは思えない。そんなヤツ、私は絶対認めない。許さない」 言葉には表さなかったが、互いを認めて死闘を繰り広げた相手をああまで言われてはいい気はしない。レイジングハートを握り締める手にも自然と力が篭る。 「だったら、どうする?」 「決まってます。私たちを侮ったこと、後悔させてやる」 「いい返事だ」 二人は凶悪な笑みをかわす。確かに相手は桁違いの存在かも知れないが、こっちは二人だ。負ける要素などない。 「行こうか」 「ええ」 傷を治し終わった二人はコロシアム中央に出現したワープゾーンへ向かう。 戦いもいよいよ大詰め、最後のボスを今ここで確認できたことは僥倖だった。これから先、あれ以上の敵が出てくることはないだろう。ならばこの二人が歩みを強制的に止められることなどあり得ない。 そして二人は次の場所へと進む。 「ハハ、どうやらホントにもうすぐ終わりみたいだぜ」 「そうなんですか?」 「ああ。ここはテメンニグルの最上階へ続く回廊、これを登っていけばそこは終着点さ」 ワープゾーンに飛び込んだ二人がたどり着いた先は随分と急な角度がついた坂道の開始地点。円を描くように塔の周りを走る、その最後の道だった。 「この上に魔帝が……」 ついさっき圧倒的な存在を見せ付けた仇敵がすぐそこに、自然と手に力が篭っていたことに気付き、なのはは驚きそして自然と肩の力が抜ける。 「そんじゃ、行こうか」 「そうですね」 そしてゆっくりと坂を登る。と、なのははその途中に黒く染まったカーテンのようなものを見つけた。 「ダンテさん、あれ何ですか?」 「あ?」 「あの黒いの」 「……目が疲れてるのか? 何もないぜ」 「え、嘘」 むー、と目を凝らしてみるが、間違いなく黒い何かが坂を塞いでいる。だが、ダンテはそんなもの見えていないと言う。傷は癒したし、それでも目に異常があるのだとすれば早めに何とかしないと後々大変なことになりそうだ。 「どうした?」 「あ、あれ?」 だが、ダンテがそんななのはの心中に気付くわけも無い。唸るなのはを置いて歩いていってしまう。 そしてなのはがふっと気がつくとダンテがその黒い何かの中に消えていた。姿は見えないが、声は普通に聞こえることからどうやら特に何も無さそうで。 「大丈夫なんですか?」 「だから何が」 「……なんでもないです、今行きます」 気のせいだろうと考え、なのはもまたその中へ足を一歩踏み入れて。 「なのは?」 ダンテが後ろを振り返ると、なのはの姿がどこにもなかった。 「……ヘイヘイ、冗談キツイぜ?」 慌てて周囲を探ってみるが、今まで隣にあった気配が蜃気楼のように消え失せている。 「……あ、そーいやそーだっけ」 そしてダンテは思い出した。以前ここに来たとき、ここを護る己の影と戦ったことを。なのはもまたその試練を受けているのだろう。完全に忘却の彼方だった。 「やれやれ、待たなきゃならんのか」 ダンテは最後の階段、その一段目に腰掛けてなのはの帰還を待つことにした。 上まで行ったらおそらく今も己に殺気を叩きつけてくる相手を目の前にすることになる、そしたら我慢なんか出来るはずないという確信があったから。 ダンテはぼんやりと空を眺め、そして束の間降って沸いた休息の時間を満喫することにした。 「……ダンテさんの嘘つき、やっぱり何かあるんじゃないですか」 黒い何かに足を踏み入れた瞬間、襲ってきたのは軽い眩暈。そして目を開いてみると、今までとは何の脈絡もない場所に一人で立っていた。 周囲にダンテの気配がないことからも、分断させられたと判断し、軽率だったと悔いる。 「とりあえず出口は……」 周囲を見渡してみるが、暗くてよく見えない。だが、ぼんやりと見渡せる部屋の中には出口らしきものはどこにもなかった。 「……封印も特に無さそうだし、どういうことだろう」 唸っていても状況は好転しそうにもない。なのはは渋々周囲を探ろうとして、部屋の中心に何かが蠢いたのを確認する。 「なんだ、やっぱり……って、嘘」 酷く薄くではあるが、この部屋には光が射していた。そこから伸びるなのはの影が独りでに動き出し、立ち上がったのだから目を疑うのも当然だろう。 「……何これ」 動き出した影ははっきりとした姿を象る。なのはが目にした姿はよりにもよって――― 「……私?」 何もかもが暗黒に染まっているからはっきりと断言は出来ないが、頭の形から持つ杖まで何から何までそっくりだ。唯一違うところがあるとすれば表情と呼べるかも怪しい表情だけ。 「……私、そんな風に笑わないんだけど」 目と口だけがはっきりと分かる。獲物を見つけた動物、いや、いたぶって遊ぶ相手を見つけた悪魔。そんな笑顔だ。その表情になのはは青筋を浮かべ、おもむろに魔法をぶっ放した。 「ディバインシューター!!」 不意打ち気味に放たれた輝く魔弾は避ける間もなく影に直撃し、 「ちょっと!?」 何事もなかったかのように通り抜け、壁を叩いて霧散する。その間に影は肉薄し、振りかざしたレイジングハートで殴りかかってきていた。 「このっ!」 咄嗟に差し出したレイジングハートはやはり相手のレイジングハートを素通りし、そして影のレイジングハートがなのはの体を直撃。 なぜか刃のような鋭さで、バリアジャケットごと浅くではあるが袈裟懸けに切り裂かれる。 「!!」 返す刃で胴を薙ごうと動く影、受け切れないと判断してなのはは見てくれも気にせず大きく転がって距離を取る。斬られ、血を流す肩に手を添えながらなのはは呟いた。 「……何これ」 「Sorry, I ve no data」 なのはの持つレイジングハートもまた、この異常事態に何のデータも持っていないようだ。 「……大丈夫」 だが、ここは魔界。常軌を逸していて当然なのだ。何が起こっているのかはわからないが、この短期間でわかった確かなことが一つだけある。 「こっちの攻撃は当たらないのに、向こうの攻撃は当たるってこと。だとすれば、必ず何か解決策があるはず」 突きつけられたのは最悪の現実。だが、まだあらゆる手段を尽くしたわけではない。それまでは、折れるわけにはいかない。 影のなのはは追撃をかけるでもなく、笑みを深くして挑発してきている。あんな笑い方をする相手に負けるのは自身の矜持が許さない。 「ベオウルフ、装着」 相手が影なのだとすれば、ダンテが光の属性を持つと言っていたベオウルフならば通じるのではないか。そう考えたなのははベオウルフを装着し、逆に影に向かって挑発をかます。 「この程度で勝った気になるのは早いんじゃない? 私はまだピンピンしてるよ、ノロマ野郎」 嘲笑と投げられた侮蔑の言葉に、影は再度なのはに向かって突っ込んでくる。 「ハッ、単純」 そのまま全く同じように袈裟懸けにレイジングハートを振りかぶり、叩きつける。だが、同じ攻撃を何度も食らうほど愚かではない。 振り下ろされる瞬間杖の軌道の内側に潜ったなのはは渾身の力を込めて影に拳を打ち込む。 「!? Shit!」 しかし、それも虚しく腕が影を突き抜けるだけで、ダメージが通った感触はない。それを見た影がお返しとばかりに嘲笑を浮かべ、そしてバランスを崩したなのはに向かってレイジングハートを突き出す。 「くっ!」 すんでのところで体を捻り、刺突を避ける。掠めた一撃がオートプロテクトを突き破って脇腹に傷を残していく。 「……どうしよう」 大きく転がり、さらに後ろに跳ね飛んで影と距離を取る。ベオウルフでも通じない、だとすれば、残る手は――― 「全力で、ぶっ飛ばす!!」 相変わらず影は対等な相手として見ていないのか、嫌な笑みを浮かべたまま悠長に手招きしている。単純にムカつくが、それにキレて突っ込むほどバカではない。突っ込むのは自分ではなく、魔法だ。 「Lyrical Magical Stylish!!」 収束する魔力。魔帝の腹心であるグリフォンすら射抜いた一撃に、耐えられるものなら耐えてみろ! 「ディバインバスター!!」 解き放たれた凶悪な一撃は歓喜の咆哮を上げ、自身を象る影に突き進む。だが、闇を滅する聖なる一撃を目にしてなおその余裕の笑みは全く崩れずに。 「……ヘイへーイ、冗談キツイよ?」 何事もなかったかのようにスルー。だが、なのは全力の一撃は影を透過した後、背後にあった壁を粉砕する。 「!」 そこから差し込むのは紛れもない光。範囲は狭いものの、射しこむ部分からは暗闇が消え失せている。 「……実験してみるしか、ないよね」 なのはの頭が凄まじい勢いで回転し、今起きた現象から一つの仮定を導き出す。そして、影を払うのはいつだって光だ、試してみる価値は十分にある。 「SYAAAAA!!」 「……上等」 そんな周囲の状況が見えていないのか、いよいよ止めをとばかりに咆哮を上げて突進してくる影。なのはは壁に背を預け、右手のベオウルフを確認。 背後を痛いほど意識しながら、視線は少しもそらさず、そのギリギリの瞬間を待つ。 「……今!!」 なのはを射程に捉えた影がレイジングハートを振りかぶる。反撃を全く予想していない一撃を目にし、なのはは右手を振り上げて――― 「砕けろぉ!!」 叩き付けた。影にではなく、なのはの背後の壁、そこにおさまる宝玉のような一点に。 「GYAAAAAA!!」 まるでガラスのように甲高い音を立てて壁が砕け散り、そこには反対と同じように光が差す。そして振り返ったなのはは見た、降り注ぐ光を浴び、悶絶する自身の影を。 「貰ったぁ!!」 回転の勢いを乗せた右ストレートが炸裂する。そこにあったのは、確かに何かを殴った感触。そして、同時に影の上げた叫びがダメージが通ったことを如実に表している。 「いける!」 だが、続いて繰り出した左の一撃は影が飛び退ったことで空を切る。それでも、なのはは自身の勝ちを確信した笑みを浮かべ、次の瞬間その笑みが驚愕に崩される。 「GAAAAAAA!!」 放たれたのは、真っ黒に染まったディバインバスター。フラッシュムーブで辛くもかわし、そしてディバインバスターが直撃した壁が直っていることに驚く。 「……危ない危ない。へぇ、そんな真似も出来るんだね」 それでも、自分の勝ちは揺るぎそうにもなかった。 なのははフィンを駆り、ドームの中央、天井の真下へと飛ぶ。 「でも残念。余裕なんか見せてないでとっとと倒せばよかったのにね」 周囲に舞う光弾は五つ。その真意を悟った影が慌てて次のディバインバスターを放とうとするが、時既に遅し。 「Fire!!」 全方位に一斉に放たれた光弾はその全てが完全なコントロールを見せ、残っている壁の宝玉を全て同時に破壊した。 「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」 空間全てが一斉に光に満たされ、逃げ場を失った影が絶叫を上げる。それを上から見ていたなのはが満面の笑みとともに、自身を象った愚かな影に引導を渡した。 「バイバイ、中々楽しい見世物だったよ」 全てを焼き尽くす聖なる光は、今度こそ一撃の下になのはの影を光の彼方へ消し去った。 「Too easy. ま、笑い方がなってないよね。こうだよ、こう!」 ふわりと着地したなのはは、すでに消滅した影に向かって、ダンテから学んだ不敵で悪魔じみた笑顔を見せ付けるのだった。 「やれやれ……よかった、影がなくならなくて」 影がないのは生き返った死人だけで十分だ。実体がなくなると同時にちゃんと自分の足元に帰ってきた影を見て安堵の呟きを漏らす。 「さて、これで……って、また?」 その影が再度動いたかと思うと、再びなのはの姿を象った。 「……パワーアップしてるのかな?」 先ほどと違う点と言えば、真っ黒だった実体がきちんとした姿になっているという点だろうか。まるで鏡を見ているかのような気分でなのはは一歩踏み出す。 「……でもおかしいな、殺気がない」 影なのはは明確な殺気を持っていた。だが、今度はどうだ、なのはの動きに応じて一歩前に出てきたものの、戦いをおっぱじめようという空気にはなっていない。 「…………」 ひらひら、と手を振ってみる。すると相手も手を振る。中指を立ててみる、すると相手も立てる。 「……ムカッ」 自分と全く同じ姿をしたものに中指を立てられ、あっさりキレたなのははベオウルフでぶん殴ってやろうと右手を突き出して、相手の突き出したベオウルフ付きの左手と衝突する。 「……なにこ、え?」 なにこれ、と言おうとしたところで、二人目の影なのははドロドロと溶けていき、そしてまたなのはの影に収まった。 理解を超えた現象に考えることを諦めたなのははレイジングハートに聞く。 「……レイジングハート?」 「No problem, master. You get the new ability, mode Doppel ganger. Is a detailed explanation…… (問題ありません。新たな力、モード・ドッペルゲンガーを得ました。詳しい説明が……)」 「いやそうじゃなくて、何でもっと早く説明してくれないの?」 「……I thought that that was funny.(そのほうが面白いと思いました)」 「…………」 ダンテのせいか、魔界のせいか、随分とおかしくなった愛杖にこめかみをヒクつかせながら、それでも怒りの声をグッと飲み込んで溜息一つ。それで強引にここでの会話を終わらせた。 それと同時に、部屋の中央にコロシアムの時と同じようなワープゾーンが出現する。 「……行くよ」 「All right」 無機質な返事が少し笑いながら言ってるように聞こえたのはきっと気のせいだ。なのははレイジングハートを一振りして黙らせると、ワープゾーンへと足を踏み入れた。 突如その場に出現したなのはに驚いた風もなく、ダンテは銃の整備を終わらせて声をかけた。 「よお、意外と遅かったな。どうだった、自分は?」 「……分かってたならなんで」 「いや、忘れてたんだ」 「…………」 「だから、その可哀想な人を見る目はやめろっての」 じとーっ、と半眼で睨んでくるなのははどうしても苦手だ。ダンテは手を振り立ち上がって、影にやられたなのはの姿を見てヒョゥ、と口笛を吹く。 「ところでなのは―――」 「?」 「―――中々どうして、いい感じの格好じゃないか?」 「…………」 「あぶねぇな」 「えっち、すけべ、へんたい」 「子供か」 「子供です」 完全に自分と同じ姿をした影なのはが戻った際に傷は癒えた。だが、裂かれたバリアジャケットまでは戻らなかった。 一人だったし、理解を超えた現象が起こっていたことからもなのはは完全にそのことを失念していたのだ。 ちなみに、ダンテの「あぶねぇな」の台詞は、なのはが無言で振るったレイジングハートを避けてのものだ。 「あっち向いててください。見たら殺しますよ」 「わーってんよ。ったく、おっかねえな」 「全く……」 ぶつぶつ言いながらバリアジャケットを修復しようとするなのはの気配を感じながら、ダンテはニヤリと笑ってアイボリーを腰から引っぱり出した。 整備を終えたばかりで鏡のように磨きぬかれた銃身には、笑みを浮かべているダンテがはっきりと映っている。 「~~♪」 何となく口笛を吹いて誤魔化しつつ、ダンテはアイボリーの角度を調節。決して疚しい気持ちがあるわけではなく、禁止されたものは見たくなるという性だからだ。 というか、疚しい気持ちが本当にあったのならただの犯罪者だ。 ダンテはなのはの僅かだが露になった素肌を見ようとして、なのはが破れた箇所を隠しつつレイジングハートを突き出している姿を捉えた。 ―――ダンテに向かって。 「Blast」 「いってぇぇぇぇぇ!!!」 放たれた光弾がアイボリーに反射してダンテの顔を焼く。完全に不意打ちだったことも手伝ってか、あまりの痛さにのた打ち回る。 「天罰です」 「Jesus……」 ダンテが何とか光を取り戻して立ち上がったときには、バリアジャケットは完全な姿を取り戻していた。 「ダンテさん、最低ですね」 「…………」 返す言葉もなかった。 「……ところでレイジングハート、何で破れてるって教えてくれなかったの?」 コロス笑みを浮かべてなのはがレイジングハートに問う。後にダンテが語るには、レイジングハートが冷や汗掻いてたと言っていた。本当かどうかは定かではない。 「……I thought that that was funny.(そのほうが面白いと思いました)」 無機質な声が震えているように聞こえたのはきっとダンテの錯覚だろう。だが、はっきりと青筋を浮かべて階段の段差に杖を叩きつけるなのはは本気で怖かった。 ダンテは割と本気で殺されなかったことに感謝した。 「次ふざけたことしたら、壊すよ」 「……All right」 「……お前も大変だな」 「……Even too much.(それほどでも)」 「ダンテさん? レイジングハート?」 「まじごめんなさい」 「Sorry, master」 この瞬間、二人の上下関係が決められたと言っても過言ではないかも知れない。 「全く……さっさと行きますよ!」 「仰せのままに」 ぷんぷんと怒気も露に階段を登るなのはに、自業自得だが妙に疲れた表情のダンテが続く。だが、そんな二人の間の砕けた空気は短い階段を登りきった直後、あっという間に霧散した。 「え……」 「……悪いな、待たせちまったか?」 「気にするな」 なのはが見たのは、紛れもなく人間だった。そして、ダンテにとっては、認めたくなかったけれどここに飛ばされた瞬間から分かっていた相手である。 「よぉ、バージル」 「……久しいな、ダンテ」 「え、ダンテさん?」 「悪いな、ちょっと下がっててくれ」 事態についていけないなのはを置いてダンテが前に出る。なのはは、互いの名前を呼び合う二人に何かを感じたが、それでも声を上げずにはいられなかった。 「ちょっとダンテさん!?」 「悪い。アイツは、アイツだけは、俺が止めなきゃならないんだ」 ダンテの言葉に秘められた強い決意を感じ取り、さすがになのはは何も言えなくなってしまう。 それでも、今までずっと一緒に戦ってきた相棒として、ダンテのスタンドプレーは認められないという思いがなのはの口をつく。が、それは言葉になる前にダンテに遮られてしまった。 「……ダンテさん」 「アイツはな、俺の、双子の兄なんだ」 「!! だったら!」 「だからこそ、さ。兄だからこそ、俺が止めなきゃならねえんだ。わがまま言って悪いと思うが、ここは飲んでくれや」 「……分かり、ました」 今まで自分も散々わがままを通してきた。だからなのか、なのはは意外とあっさりダンテの言葉を受け入れることが出来た。 なのはが頼みを聞いてくれたことに安堵したダンテは、邪魔にならないよう隅に向かうなのはの背に声を掛ける。 「コイツを、預かっておいてくれ」 「……分かりました。言っておきますけど、負けたら私がもう一回殺しますからね」 「ハッ、わかってんよ、相棒」 「よろしい」 フォースエッジを預かったなのはは最後にすっかりお馴染みになったダンテ譲りの不敵な笑顔を見せ、そして柱にもたれかかった。これで、二人の間には何もなくなる。 ダンテは無造作にコートのポケットからアミュレットを取り出し、バージルに向かって放り投げた。 「アンタの形見に貰っといたんだがな。どんな手品か知らないが、生き返ったなら返さないとな」 「……そうか」 「全く、物持ちのいい弟に感謝しろよ?」 「そうだな、お前がこれを持っていないことだけが心配だった」 バージルは自身に託されたアミュレットを握り締め、一瞬目を閉じる。そして何事もなかったかのようにポケットに仕舞った。ダンテは気にした風もなく、バージルに向かってさらに言葉を続ける。 「しっかし、何でまたまんまで出てくるかね」 「そんなことは知らんな。魔帝は以前は俺の自我を消した、今回は復元した。それだけだ」 ゆっくりとバージルが一歩踏み出す。それと同時に、抑え切れない殺気が周囲一帯を色濃く包む。 「だが、どんな理由であれ、どんな形であれ、蘇ったのならすることは一つ」 間合い一歩手前で立ち止まったバージル。ダンテもまた、応じるかのように歩みを止める。 相対する二人の魔剣士。その姿は酷く似通っていて、そして決定的に違っていた。 「やれやれ、兄弟感動の再会だってのにな。いつまで経っても進歩がねえのはどーいうことかね」 ダンテはリベリオンを担いだまま、少しだけ悲しそうな顔をして。 「それでも、俺はアンタを止める。何度だってな」 次の瞬間には、その目に揺ぎ無い意志を宿して眼前のバージルを睨みつける。 「俺たちがオヤジの息子なら、受け継ぐべきは力なんかじゃない」 「―――誇り高い、魂。か?」 その言葉を受けたバージルが口を開く。その内容にダンテは少しだけ驚きの色を顔に混ぜ、それでもなお考えを変えぬバージルを怒りに任せて詰問する。 「何だよ、わかってんじゃねぇか。だったら、どうして今なおオヤジの力に固執する!」 「前にも言ったが、その魂が叫ぶからだ。”I need more power”とな」 「……はぁ、バカは死んでも治らないって言うが、ホントみたいだな」 そして理解した。どう言ったところで、兄弟が分かり合うことなどできないのだということを。 遥か昔に道を違えて、そしてもうその道は交差こそすれ混じり合うことなどないのだということを。 「―――終りにしよう、バージル」 ダンテがリベリオンを手に持ち、いつでも飛び込める体勢を作り、 「―――今回は、負けん。今度こそお前を殺し、スパーダの力を物にする。真の悪魔の力、思い知るがいい」 バージルが鞘に収めた閻魔刀の柄にそっと手を添え、居合いの構えを見せた。 「バージルゥ!!」 「ダンテェェェ!!」 前へ 目次へ 次へ
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コーデ マイデコ例 コーデボーナス ジャンププログラム 【吹き出しコメント1】ウィンターがポイントのデコだね♪ 【吹き出しコメント2】ピンクのコートでパワーみなぎる! 【メモ】 ブランド フェミニン コーデ トップス 不明 不明 ボトムス - - シューズ 不明 不明 アレンジ - - ▲ マイデコ例 チャーム1 チャーム2 フレーム ウィンター - - ▲ コーデボーナス ステージ コーデボーナス プリズムストーンショップ ◆◆◇◇◇ ほしぞらロックフェス ◆◆◇◇◇ プリズムLIVEスタジアム ◆◇◇◇◇ パウダースノーパーク ◆◆◆◇◇ スイーツカフェ ◆◆◇◇◇ プラネタリウム ◆◆◇◇◇ プリズムアリーナ ◆◆◇◇◇ トロピカルビーチ ◆◇◇◇◇ プリズムフューチャーアリーナ ◆◇◇◇◇ ゆうぐれロックフェス ◆◇◇◇◇ ディアクラウンショップ ◆◇◇◇◇ プリズムマイ☆デコアリーナ ◆◆◆◇◇ はらじゅくストリート ◆◇◇◇◇ ギャラクシースターファイナル ◆◇◇◇◇ ▲ ジャンププログラム 順番 ジャンプ 得点 サプライズ 1 はちみつキッス 100 2 ヒラヒラヒラクこいのはな 150 3 ミラクルマキアート 200 4 フェミニンスプラッシュ 200 ▲
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登録日:2016/08/17 Wed 14 41 10 更新日:2024/05/17 Fri 08 54 41NEW! 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 DM DMR-18 エンジェル・コマンド エンジェル・コマンド・ドラゴン クリーチャー コマンド コマンド・ドラゴン デュエマ デュエル・マスターズ ドラゴン ルシファー レジェンドカード ロック 光文明 光文明のクリーチャー 光文明のコマンド 光文明のコマンド・ドラゴン 光文明のドラゴン 召喚ロック 文明進化 時の革命 ミラダンテ 進化 進化クリーチャー 革命0 革命編 革命軍 すべてを封じる光の奇跡の力。そして、奇跡を超えれば、時をもあやつれる!時を超えるも止めるも自由自在なのだ! ---時の革命 ミラダンテ 《時の革命 ミラダンテ》はデュエル・マスターズのクリーチャーである。 概要 DMR-18で登場したエンジェル・コマンド・ドラゴン/革命軍。 通称は「ミラダンテ」「時ミラ」。 前弾から登場しているレジェンドカードの一体であり、同期に《魔の革命 デス・ザ・ロスト》が存在している。 枠色は《燃える革命 ドギラゴン》や《轟く侵略 レッドゾーン》の「赤」ではなく、「黄」である。 姿は《聖霊龍王 ミラクルスター》及び《革命天王 ミラクルスター》とは似ているものの、別人であり、 ミラクルスターよりもはるかに未来の世界のランド大陸の住民。おそらくはミラクルスター同様に光の国の王か、あるいは英雄である存在だろう。 ミラクルスターがレッドゾーンに瞬殺される際、死に際に天に祈りを捧げたことで起きた奇跡らしい。 そのときミラダンテがやってきて奇跡を起こしまくったのかは知らないが、後にミラクルスターは一命を取り留め、ドレミ団を率いて戦っている。 ドギラゴン同様、革命0の力に目覚めており、ミラダンテの時代(未来)では彼のみが革命0を扱えるようだ。 ドギラゴンの時代(現在)ではドギラゴンが、デス・ザ・ロストの時代(過去)ではデス・ザ・ロストのみが革命0を持つように。 背景ストーリーではレッドゾーンをドギラゴン、デス・ザ・ロストと共に撃破したあと、「九極」「原始」「宇宙」の侵略者を打ち負かし、 更に未来の世界からやってきた《ミラクル・ミラダンテ》やWドギラゴンと共に???に対して防御体制を取り壊滅を防ぐ。 その後一時未来に強制送還されるがどうやら《時の法皇 ミラダンテXII》として復帰する模様。 時の革命 ミラダンテ 光文明 (8) 進化クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/革命軍 13500 進化-自分の光のクリーチャー1体の上に置く。 T・ブレイカー このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、相手のクリーチャーをすべてタップする。それらは次の相手のターンのはじめにアンタップしない。 革命0―自分のシールドが1枚もなければ、相手はクリーチャーを召喚できない。 相手クリーチャーの全フリーズと、革命0によって相手の召喚を制限する能力を持つ。 光らしい非常にロック性能の高いクリーチャーであり、エンジェル・コマンド全体で見ても強力なクリーチャーである。 《革命天王 ミラクルスター》の上位版のような能力である。 ルシファーの戦い方である「タイムストップデュエル」を体現する。 ただしその能力は防御側に全振りしており、加えて発動条件が盾0枚の時。 既に出ているクリーチャーはフリーズさせることしかできず、 また召喚しか防げていないので呪文効果で踏み倒しされると痛い。サイキックとかやめてくれよ… その時点で龍解してないドラグハートとか封印がついてる禁断クリーチャーとかは恐怖。 この点は《時間龍 ロッキンスター》や《ミラクルストップ》といった革命編で登場したカードと組み合わせたい。 「エンジェル・コマンド」でありながらも「コマンド・ドラゴン」でもあるためサポートは豊富。 主にこれらのサポートを活かしつつ、類似効果持ちと差別化を図りたい。 ドギラゴンでも注目された《逆転のオーロラ》は、ミラダンテを召喚するマナを一気に貯めつつシールドを一気に0にできるので相性がいい。 光ではエスケープと《百獣聖堂 レオサイユ》くらいしかまともにシールドを削れないため、光単色にこだわるならブロッカーもちゃんと枠を取ること。 同弾の《時の玉 ミラク》は軽量エスケープブロッカーなので相性はいい。 《光姫聖霊ガブリエラ》なんかも、G・ゼロ条件と革命0が噛み合い、進化元や奇襲への保険になる。 革命編環境では【トリガービート】で採用された。主に【速攻】へのメタとして有効だからである。 フリーズがドギラゴンのように革命能力に依存せず、革命能力は常在型能力であるため、 召喚できるなら出しちゃってもいい。 相性のいいカード 時の玉 ミラク 光文明 (2) クリーチャー:ジャスティス・オーブ/革命軍 1500 ブロッカー このクリーチャーは、相手プレイヤーを攻撃できない。 エスケープ 軽量エスケープブロッカーにして、《堅牢の翼 アリシオン》の役目を奪った存在。 …といっても、アリシオンがいなければエスケープの有用性が理解されなかった可能性もあるので、 アリシオンには頭が上がらない。 エスケープとはつまり「シールドをトリガーを無効にして手札に加えることで破壊を免れる」能力。 ウィニーブロッカーであれば普通はデメリットなのだが、相手の打点がえげつないものであるときも強制的に1枚にとどめ、 自爆特攻でも無理やり盾を削れる。革命能力とは盾の枚数を調整することができる潤滑油としては相性がいい。 《パニッシュ・ホールド》とも相性がいい。 信頼の玉 ララァ 光文明 (3) クリーチャー:ジャスティス・オーブ 2000 自分の光のコマンドの召喚コストを1少なくする。ただし、コストは0以下にならない。 マナ武装3-自分のマナゾーンに光のカードが3枚以上あれば、自分の光のドラゴンの召喚コストを1少なくする。ただし、コストは0以下にならない。 光版《百鬼ヤコウ》。ミラダンテの重さを軽減できる優秀なウィニー。 単に軽いだけでなく、繋がる《指令の精霊龍 コマンデュオ》や《救済の精霊龍 ゴシック・ヘレン》《導きの精霊龍 サリヴァン》から ララァ2体目を展開でき、ミラダンテの重さをほんとうに減らしてくれる。 時間龍 ロッキンスター 光文明 (7) クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/革命軍 7500 ブロッカー W・ブレイカー 自分のターンの終わりに、このクリーチャーをアンタップする。 革命2-自分のシールドが2つ以下なら、相手は光以外の呪文を唱えられない。 相手が呪文を唱えることを制限する、革命能力版《聖霊王アルカディアス》。 ブロッカーでありドラゴンであるためサポートは豊富。 侵略者版の《九極 デュエンジェル》とは立場が逆になっている他、こちらは相手だけに制限をかける。 ただし《光神龍スペル・デル・フィン》や《偽りの王 ナンバーナイン》といった優秀なライバルもいるので、 軽さとブロッカーである点やエンジェル・コマンドである点を生かして差別化したい。 ミラクルストップ 光文明 (4) 呪文 G・ゼロ―バトルゾーンに自分のエンジェル・コマンド・ドラゴンはあれば、この呪文をコストを支払わずに唱えてもよい。 次の自分のターンのはじめまで、相手は呪文を唱えられない。 G・ゼロ呪文でエンジェル・コマンド・ドラゴンがいれば相手の呪文を封殺できる。 言うまでもなくミラダンテがそのエンジェル・コマンド・ドラゴンであるため相性は抜群。 ミラクル・ミラダンテ 光文明 (7) 進化クリーチャー:エンジェル・コマンド・ドラゴン/革命軍 14500 革命0トリガー―クリーチャーが自分を攻撃する時、自分のシールドが1枚もなければ、このクリーチャーを手札から見せてもよい。そうしたら、自分の山札の上から1枚目を表向きにする。そのカードが光の進化ではないクリーチャーなら、バトルゾーンに出し、このクリーチャーをその上に置く。 進化-自分の光のクリーチャー1体の上に置く。 T・ブレイカー このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、次の自分のターンのはじめまで、このクリーチャーに「ブロッカー」を与え、相手のコマンドは攻撃できない。 ミラダンテの世界よりもっと未来の世界から来た、「もうひとりのミラダンテ」。 おそらく名前を受け継いだ後継者なのだろう。…なおデス・ザ・ロスト側でもうひとりのデス・ザ・ロストが出てくるのは8年くらい後の話である。 革命0トリガーによってピンチの時に登場して相手のコマンドの攻撃を防ぎ、更にブロッカーとなって他のアタッカーからも守る。 条件が本家ミラダンテと被るため相性がよく、Wミラダンテで劣勢からロックを仕掛けることが可能となる。 名前は「未来から来る」から「ミラ」「クル」らしい。だが「Miracle」ともかかっている。 ただぶっちゃけてしまうと、本家ミラダンテより汎用性が高く、 対【白単】においては対時ミラを意識するよりも、対ミラミラを意識したカードを投入することが多い。 おかげで「ミラダンテ」というとこっちを指すことすら多い(一応、「ミラミラ」ということのほうが多いが) デッキを組む上での難点 基本的に「クリーチャーの召喚制限」にかなりの強みを誇るクリーチャーだが、 そのためにはただこいつを出すだけではなく「革命0」条件を達成する、つまり「自分のシールドを0にする」という手間がある。 しかもそこまでしても上述の通り、超次元呪文から《勝利のガイアール・カイザー》がすっ飛んでくることもあるため、 横に呪文妨害要員もしっかり揃えておかないとシールドもないのでそのままダイレクトアタックでジ・エンドとなる。 単なるフリーズ要員として使えなくもないが、その場合《聖霊龍王 バラディオス》というライバルが立ちふさがる。 あちらは出た時だけでなくシールドが0になった瞬間にも相手に強制フリーズを撃ち込めるのである。 単にフリーズロックかますだけならあっちのほうが強いと言わざるを得ない。 こっちのほうが値段は安くて進化元は融通がきくので勝てないわけではないが 一応「S・トリガー」や「S・バック」「ニンジャ・ストライク」などは「召喚」扱いであるため防げるのだが、 昨今では《ボルシャック・ドギラゴン》や《ミラクル・ミラダンテ》もいるため完全に安心はできない。 またミラダンテ自身を正規召喚ではなく踏み倒して召喚する手段も(それがミラダンテデッキと相性がいいかは置いといても) なくはないものの、それをやると《ZEROの侵略 ブラックアウト》を返しに出されてしまうかもしれない。 いずれも癖が強いカードなのでどんなデッキにでも入るわけではないが、無視はできない。 それでもオールレンジの召喚制限はDM全体を見渡してもそこまで多くはなく、《聖霊王アルファディオス》くらいなので、 ミラダンテはロックが完成してしまえばDMでも最高峰のロックではある。 だが現環境は「異様に早い」のでコスト踏み倒しだけメタれば十分ではないかという問題もある。 といっても光文明は基本的にスーサイド戦法は苦手なので、ドギラゴンやデス・ザ・ロストと違い、 「とりあえずお守り程度に1枚挿しとく」のような使い方はほぼデッキ枠を1枚削るだけの行為になってしまう。 革命編ブロック構築では超次元呪文なんてないのでトリガービートに挿しておく、なんてことも意味はあったが、 殿堂環境ではあんな汎用性と種族シナジーお化けの生姜ニキは採用し得なのでピン採用は有り難みが薄く、 こいつを入れるからには、ちゃんとこいつでロックをしかける必要性があるのだ。 このため、強いクリーチャーではあるものの、現時点でのレジェンドカードの中では評価は低い部類。 まあデス・ザ・ロストみたいな「既存の能力のちょっとだけ強い版」でしかなく結局枠を追われるような奴よりはまだ活躍が期待されてるけど 活躍させるには、デッキ構築力と環境の読みによる相棒のロックカードの取捨選択が必要だろう。 余談 後の背景ストーリーを紐解いていくと、このクリーチャーに関する致命的な矛盾に気が付く事になるだろう。 革命ファイナルの他のカードのフレーバーテキストをよく読んでみよう。 そう。革命編からそう遠くない未来において、この世界(DS世界)のドラゴンは絶滅する運命なのである。 しかし、遥か未来のランド大陸からやってきたはずのこのクリーチャー、どういうわけかエンジェル・コマンド・ドラゴンである。 当初はマスター・ドラゴンの復活が原因かと見られていたのだが、この説は公式によって「DS世界と新章世界は直接時系列が繋がっていない」と明言された事で直々に否定され、考察は振り出しに戻ってしまっている。 一体ミラダンテはどこの、そしてどの世界の未来からやってきたのだろうか?公式の設定は未だに不明である。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] オールフリーズは防御以外にも一斉攻撃の際に邪魔なブロッカーを無力化できたりするから割と万能よね 連鎖でいつもお世話になってるわ -- 名無しさん (2016-08-17 19 42 29) ミラダンテが上位互換のミラクルスターは革命天王じゃなくて精霊龍王じゃね -- 名無しさん (2016-08-17 21 16 02) 法王ミラダンテはこいつじゃなくてミラミラの姿だとか -- 名無しさん (2016-08-18 09 35 31) タイムストップデュエル!!!ってリアルで叫んで使ってた黒歴史 -- 名無しさん (2017-08-05 22 50 09) スーパーデッキよりミロクが超次元の中で再びドラグハートを生成したことでDS世界にドラゴンが蘇った模様。DS世界でドラゴンが滅んでから復活までは20年ちょっとらしい -- 名無しさん (2023-06-22 16 42 32) ついにデュエプレにも実装されるけど、シンパシー着くのか…新たな白単のフィニッシャーとして期待できそうだ。 -- 名無しさん (2024-05-17 08 54 41) 名前 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